宇宙英雄ローダンシリーズ
１１〜２０

　西暦１９８０年、敵性宇宙人による侵略はひとまず鳴りを潜め、ローダンは地球の統一を推進する。(2000.8.26)
　西暦１９８２年、地球とフェロルとの宇宙貿易が、銀河の独占通商権を主張する銀河商人スプリンガーの攻撃の発端となる。辛くもこれをはねのけるローダン。その中で世界政府が誕生した。
　西暦１９８４年、ついにトーラとクレストのアルコン帰還が実現する。だが、そこでは仮借を知らないポジトロン脳が帝国の支配権を握っていた。強力な植民地政策から地球を守るべくローダンは行動する。(2000.9.9)

ローダンなもの

１１巻「核戦争回避せよ！」

　・核戦争回避せよ！　クルト・マール
　第三勢力の干渉を排除しようとする東ブロックは、世界に向けた核ミサイル発射を決定する。東ブロック領内に潜入したデリングハウスは東ブロックの国家主席を連行、ローダンの組織した国際法廷に立たせる。ローダンは世界統一を強くアピールした。
　ローダンの留守に、宇宙巡洋艦二隻ができあがっているのは、第５巻の記述と比べると変だが、６巻以降でローダンが地球に戻ったときに必要な手を打っておいたということにすれば、まあ良いかな。
　地球国家統合の希望を表すため、ギャラクト＝シティがテラニアと改称される。

　・トーラの逃走　クラーク・ダールトン
　前話から１年後の１９８１年６月１９日、アルコンへの帰還を実行しないローダンに業を煮やし、トーラは新型宇宙機”駆逐艦”（後の作品での表記は”駆逐機”）に乗り、金星基地の超空間通信機を目指す。ただちにこれを追うローダン。だが、両機とも認識コードを記憶していないことで、金星基地に撃墜される。おまけに、敵性宇宙船の接近を想定した秘密スイッチＸが発動。あとから駆けつけたブルは金星全体を覆うバリアに阻まれローダンを支援することができない。
　事態を解決するためには、トーラかローダンがジャングルを突破し金星基地とコンタクトするしかない。
　認識コードを持たない新型機？”何者も入れるな”というプログラム？どうしてテレポーターはバリアを突破できないんだ？６０年代ＳＦとしては、あまりに情けなくないか。ここはジャングル惑星に放擲されたトミゼンコフ将軍一行の行動だけに注目して読んで行くのが良いようだ。(2000.8.26)

１２巻「秘密スイッチＸ」

　・秘密スイッチＸ　Ｗ・Ｗ・ショルス
　踏破すべき金星のジャングルは深い。トーラを捕虜としたトミゼンコフ将軍は計略によりトーラの護衛を務めていたロボットＲ−１７号を首尾良く破壊。金星の覇権を我がものとすべく行動する。だが、金星の覇権をめぐる東ブロック派遣部隊の分裂が続く。金星基地を目指すローダンの努力も結実しない。

　・金星のジャングル　クルト・マール
　金星による危険をかいくぐりつつ、前進を続けるローダン。入り乱れる東ブロック勢力。ぎりぎりのタイミングでローダンは金星基地とのコンタクトをなす。敵性勢力を排除したトミゼンコフはみずから金星植民者となることを表明する。(2000.8.27)

１３巻「超ミュータント出現！」

　・オーヴァヘッド　クルト・マール
　金星から戻ったローダンを待ち受けるように起こったテラニアでの爆発、駆逐艦の盗難。時を同じくしてＧＣＣは１５億ドルの損害を出す。ローダンの業績をねたみ、みずからのミュータント部隊を組織して世界征服を狙う悪のミュータント、クリフォード・モンタニーの攻撃だった。第三勢力は反撃しモンタニーの日本支部を壊滅させた。

　・超ミュータント出現！　クラーク・ダールトン
　超能力により惑星を隔てて他人を操ることのできるオーヴァヘッドことクリフォード・モンタニー。第三勢力はみずからの兵に対しての防戦を余儀なくされる。手がかりをつかんだローダンはユタにあるモンタニーの基地を衝く。モンタニーは最後の切り札をおいた火星へと逃走する。(2000.8.29)

１４巻「ヒュプノの呪縛」

　・ヒュプノの呪縛　クラーク・ダールトン
　火星へと逃走したクリフォード・モンタニー。直径６０ｍの搭載艇を指揮して火星へ偵察に向かったデリングハウスはモンタニーの催眠暗示に捕らえられてしまう。核攻撃を受けるテラニア。
　最後の切り札を失ったモンタニーは火星からの逃走を図る。モンタニーの野望はアステロイドでついえる。

　・宇宙のおとり　Ｋ・Ｈ・シェール
　トーラの逃走からほぼ１年後の１９８２年、ローダンは謎の勢力が地球で活動していることを察知していた。地球は再び宇宙からの侵略の危機にさらされているのだ。敵の正体を確認するため、士官候補生ジュリアン・ティフラーが巧妙なおとりに仕立てられる。ティフラーを乗せた訓練艇Ｋ９の前に現れたのはアルコン帝国の一大勢力スプリンガーだった。(2000.8.29)

１５巻「宇宙商人スプリンガー」

　・宇宙商人スプリンガー　クルト・マール
　Ｋ９はわずかに抵抗しただけでスプリンガーの宇宙艦に捕獲される。着いた先は、太陽から３２０光年離れたベータ＝アルビレオ二重星系。Ｋ９一行は相手がスプリンガーであることを見極めると脱出を図る。Ｋ９は迎えに来たローダンが収容するが、別行動を取ったティフラーほか４人は、地表の大部分を氷が覆う第二惑星に不時着する。

　・パルチザン、ティフラー　クルト・マール
　ティフラー援助のため、グッキーが第二惑星に派遣される。だが、ティフラーの救出は当面ローダンの計画に無い。ティフラーが地球にとって重大な情報を握ると信じるスプリンガーを牽制し、さらに情報収集をはかるためだ。スプリンガーは１６８隻の宇宙艦をベータ＝アルビレオに動員。宇宙と地上での戦闘がおこる。(2000.9.2)

１６巻「ロボット皇帝の反乱！」

　・ロボット皇帝の反乱！　Ｗ・Ｗ・ショルス
　ベータ＝アルビレオの戦闘で、地球に潜入したスプリンガーのスパイが、プログラムを書き換えられた第三勢力のロボットであることが判明。正体を見破られたことで、世界各地でロボットが一斉蜂起する。

　・無限への散歩　クラーク・ダールトン
　スプリンガーに対して劣勢の地球。不死者から特殊兵器を入手し状況の打開を図ろうとするローダン。ローダンはフィクティブ転送機二機を入手、≪スターダストII≫は無敵の宇宙艦となる。
　ワンダラー訪問を契機に、ローダンと不死者は２０万光年離れたバルコン星を訪れる。(2000.9.2)

１７巻「燃える氷惑星」

　・燃える氷惑星　クラーク・ダールトン
　ローダンが地球からワンダラーへ向かったとき、地球はすでに超重族トプトルの監視下にあった。１１隻の戦闘宇宙艦をもって地球攻略を図るトプトルとローダンの戦い。ベータ＝アルビレオでも最後の戦いが行われ、ティフラー一行は地球へと戻る。半睡人がテラニアに移植される。

　・裏切り者レヴタン　クルト・ブラント
　スプリンガーの攻撃をひとまず押し返したローダンだが、スプリンガーの独占通商権を認めないローダンをスプリンガーがこのままに済ますはずはない。あらたな作戦の発端は、スプリンガーを追放されたレヴタンの太陽系訪問。
　地球から１０１２光年離れたゴスル星の族長会議にミュータント４人が潜入する。
　ゴスル星の作戦はいつになく容赦のないやりくち。少し違和感。(2000.9.2)

１８巻「忘却兵器極秘作戦！」

　・神々の国　クルト・マール
　スプリンガーに手痛い打撃を与えたミュータント４人。使命を果たして脱出の算段をするが、ローダンの意図は別にあった。グッキーが秘密兵器とともに支援に送られ、ミュータント４人は惑星現地の抵抗組織と接触。

　・忘却兵器極秘作戦！　クラーク・ダールトン
　ローダンの意図は、さらなる打撃をスプリンガーに与えて地球侵攻をやめさせることだった。擬似疫病を蔓延させ、ゴスル星を解放する極秘作戦が展開。(2000.9.9)

１９巻「望郷の宇宙帝国」

　・発狂惑星　クラーク・ダールトン
　ゴスル星のスプリンガー作戦も最後。秘密造船所が巨大戦艦を作っていることが判明。ローダンは超重族トプトルをペテンにかけて追い払うとともに、巨大戦艦をも手に入れる。
　不可思議な球形生物が、ゴスル星が属する星系の第４惑星の月で、ハルナハン軍曹によって発見される。

　・望郷の宇宙帝国　クルト・マール
　１９８４年５月、ついにトーラとクレストはアルコンへの帰還を果たした。だが、期待した歓迎はなく、ローダンの旗艦≪ガニメード≫はアルコン星手前の第５惑星に足止めされてしまう。大帝国は６年前から銀河最大のポジトロン脳が支配していた。圧倒的な帝国の力を前にローダンは新たな決意を表明する。

　スプリンガーとの対決では、さまざまな秘密兵器が登場した。ティフラーの発信器は不死者から受けたものだから別にしても、敵の探知機をごまかす対走査フィールド(18/1)、小型超空間通信機ミニカム(18/1)、忘却細菌(18/2)、プログラム改変インパルス装置（ロボットのプログラムを遠隔操作で変更できる）(19/1)。地球で開発されたものだと思うが、いつのまに。起源はともかく、都合の良い秘密兵器があって超能力者がいればなんでもできてしまう。その意味で、ここしばらくの展開は私の好みから大きく外れていた。(2000.9.9)

２０巻「精神寄生人の陰謀」

　・三惑星系　Ｋ・Ｈ・シェール
　フィクティブ転送機でアルコンを訪ねたローダン。権力を持たぬ皇帝からケノス提督を紹介され、補助要員の立場でアルコン超弩級戦艦に乗り込むことに成功。超努級戦艦を奪取したものの、艦内ではアルコンロボットとの戦闘が展開。ともかくもフレイト大佐が指揮する≪ガニメード≫とともに、アルコン星系からの脱出に成功する。

　・精神寄生人の陰謀　クラーク・ダールトン
　アルコン星系から三光年離れたツァリト星系。アルコンの裔でありながらポジトロン脳の支配を覆そうとするツァリト人が超弩級戦艦とともに訪れたローダンに取引を持ちかける。態度を決めかねるローダンだが、ツァリト人の背後に精神寄生体モーフとそれを操る黒幕がいることを知り、帝国の側に立つことを決意する。

　闇雲な逃走で、たまたまツァリトに出たところが不思議。(2000.9.9)

　初稿：2000.8.26、改訂：2000.8.26〜