宇宙英雄ローダンシリーズ
２８５〜２９０

　大群の痴呆化影響から今ださめきらない人類のもとに、未知種族アスコルポスが接触した。(2002.12.1)
　惑星アスポルクへのローダン訪問はさんざんな結果となった。一行が地球に戻るとコレッロとアラスカが失踪する。どうやら２９０９年に失われたはずのミュータント８名が関わっているらしい。(2004.4.20)

ローダンなもの

２８５巻「カピン戦隊」

・カピン戦隊　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　→大群サイクルへ。

・苦悶の声　エルンスト・ヴルチェク
　大群の痴呆化影響から今ださめきらない人類は、大執政官選出にあたり動揺していた。
　一方、大群騒ぎで連絡が途絶えていた実験艦≪ＥＸ＝８８７＝ＶＲＴ≫が銀河の未踏領域から帰還、調査にあたったミュータントが翻弄される。≪ＥＸ＝８８７＝ＶＲＴ≫が運んできた異星人アスコルポスは、支援の要請と危機の接近を告げた。(2002.12.1)

２８６巻「未知の憑依者」

・未知の憑依者　エルンスト・ヴルチェク
　ソラー・ホールでの大執政官選挙に向けた演説もそこそこに、ローダンは未知のラトレイ星系へ出発する。しかし、ローダン率いる重巡洋艦≪ティモール≫は未知存在の影響下に入り、惑星アスポルクになかなかたどりつけない。(2003.1.3)

・共生体の時間　クルト・マール
　未知存在の影響から逃れ、手がかりを得ようと≪ティモール≫はかつてのアスポルコス植民惑星ポルチェストへ向かう。だが、未知存在はローダンを影響下に収め不本意な行動へと誘う。
　すべてのアスポルコスが付けている六次元放射性金属のとさか飾りが、未知存在の力を解放する鍵となっているようだ。未知存在はローダンを操り、二つのとさか飾りを持つケル＝ディヴァロンを支配下に収めると共に、ウィスパーの力を取り込むことで途方もないモンスターと化した。(2003.1.3)

２８７巻「レディと蛮人」

・レディと蛮人　ハンス・クナイフェル
　プロフォス総統、ムニショ・アースが反ローダンの立場に立つという情報の真偽を確かめるため、デイトンはオラーナ・セストレとローダンの不和を演出。サンダル・トークと共にプロフォスの調査に向かわせる。
　田中栄一氏のローダン翻訳第一作。８３ページのイラストは簡単な間違い捜しの対象。(2003.3.5)

・天空の金属　クラーク・ダールトン
　事件の鍵は、謎の未知金属にあると推測したローダン一行は再び惑星アスポルクへ向かう。落下した巨大隕石、高さ７０キロメートルのモノリスこそ、その由来だった。調査に向かったアトラン、グッキー、ラス・ツバイ、ロワ・ダントン、イホ・トロト、リバルド・コレッロ、タクヴォリアンはＰＥＷ（パラバイオ＝エモシオ変換物質）金属と名付けたその鉱床の中に、ＰＥＷ金属の性質故に囚われの身となってしまう。
　ローダンの便利道具だったウィスパーは２８６巻であえなく最期。都合が良すぎてあまり活躍の機会もなかったが、こうした形で姿を消してしまうとは哀れ。
　赤坂桃子氏のローダン翻訳第一作。(2003.3.5)

２８８巻「聖なる隕石の都市」

・聖なる隕石の都市　Ｈ・Ｇ・フランシス
　いやもう、この話は前話との乖離があまりに大きくて、おかげで感想を書くのが２９７巻まで読み進んでからになってしまった。閉じこめられていたアトラン一行は、なんの説明もなく隕石内で自由に動けるようになっていて、ＰＥＷ金属の硬化は隕石内の都市を包む規模で広がっているらしい。アトランが都市に降りたことの目的のひとつにＰＥＷ金属の入手があったはずで、前話ではそれを手に入れているのにこの話では空手で引き上げている。それどころか≪ティモール≫にわずかな金属が入り込んだといって大騒ぎだし。
　大局で見るとアトランの隕石内部偵察はそこそこ進んだものの、苦悶の声に悩まされ、やっとの事で脱出しましたという話。それにしてもなんで≪ティモール≫は太陽系まで逃げ帰る必要があるかなあ。再度の偵察をしても良いし。このままでは遠征の成果はほとんど何もないのだけれど。(2004.2.29)

・スーパー・ミュータント失踪　ウィリアム・フォルツ
　リバルド・コレッロが何かに取り憑かれて≪ティモール≫から地球へ失踪。一方アラスカ・シェーデレーアの前にはキトマがあらわれて自分は大群建造者の一員だと言い、不思議な都市へと導く。
　なんとかキトマと折り合いをつけたアラスカは、自分を地球へ戻すよう説得に成功するが、戻された先はトウモロコシ畑の中。どうやらコレッロの近くらしい。
　前話に引き続き、必然性の乏しさのせいで脳味噌が空転してしまう。何か自分が読み落としたところがあるのかとの疑いをなかなか捨てることができない。いやいやローダンにはこうしたことは付き物で、今回はその特徴がいつもより少し色濃く出ているだけに違いない。その証拠に、この後の話からはつながりが多少ましになっている。
　アラスカの巻き添えになって、あわれにもあっさり人生を失うチルキオ・ラスケル大尉の性格がよくわからないが、複合人格のキトマに惚れるアラスカの性格も良くわからない。(2004.2.29)

２８９巻「レムール遺跡の秘密」

・追われるミュータント　ウィリアム・フォルツ
　キトマがアラスカを地球に送り返すとき、コレッロが基準点に使われたらしい。アラスカはアラスカに利用価値があると見たコレッロに捕獲されてしまう。
　コレッロはまた、なんらかの集団的意志に操られていた。コレッロは地球のあちこちを転々としながら、何かを試行しているようにも見える。それを追跡するローダン部隊だが、後手に回らざるを得ない。
　コレッロとアラスカはついに、太平洋上の遊覧船にあらわれた。何ものかの計画はあらたな段階を迎えるようだ。(2004.4.18)

・レムール遺跡の秘密　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　南太平洋諸島にあらわれたコレッロとアラスカ。ダライモク・ロルヴィクはそこで休暇を過ごそうとしていた。住民の奇矯な行動に気付いたロルヴィクは、デイトンに警告を発する。
　南太平洋諸島の海に沈むレムール帝国の施設に到着したコレッロは、レムール艦隊人員の高速培養システムを稼働させようと試みる。

　奇矯な行動に気付くロルヴィクというのはなんかへん。本人の方がよっぽど奇矯だ。(2004.4.19)

２９０巻「サイコ・ヴァンパイア」

・サイコ・ヴァンパイア　エルンスト・ヴルチェク
　コレッロはレムール施設に眠る５９２名の生体遺伝子学者チームを覚醒させ、高速培養人間（ノーマルシントス）８体の作成を命じる。状況に不審を持ったヴァウフ・オナクロは、コレッロに対抗すべく６体のサイコ・ヴァンパイアを併せて培養した。サイコ・ヴァンパイアは超能力を無効化し、精神を吸い取る。
　サイコ・ヴァンパイアとコレッロの戦いはローダンを招き寄せた。だが、コレッロはアラスカとノーマルシントス８名とともに消えてしまう。(2004.4.20)

・時の騎士　クラーク・ダールトン
　なぜか痴呆化禍からもまぬがれてマゼラン海峡周辺で１９世紀さながらの生活を続ける”時の騎士”。そこにあらわれた他人の命令に無批判に従ってしまう謎の男イルロイ。通報を受けて調査に向かうローダン、アトラン、グッキーはイルロイがノーマルシントスであることを突き止める。コレッロがあらわれてイルロイとともに消える。
　ネーサンがこれまでの状況を分析し、コレッロを操るのは２９０９年に失われたミュータント８名だと断定する。アスポルコスは、コレッロをアスポルクに招く餌であったらしい。(2004.4.20)

　初稿：2002.12.1