宇宙英雄ローダンシリーズ
３１〜４０

　アルコン摂政との協力関係のもと、異時間次元からの攻撃を探るローダン。だが、アルコン摂政はローダンのもとにスパイを送り、ローダンの不信が高まる。(2000.10.7)
　異時間次元との接触はしだいに大規模化し、ついに両宇宙を自由に行き来できる放電漏斗が出現。摂政艦隊とドルーフ艦隊との大規模な戦闘が始まる。ローダンは地球人の利益を優先する。(2001.3.12)

ローダンなもの

３１巻「ロボット・スパイ」

　・ロボット・スパイ　クラーク・ダールトン
　異時間次元からの攻撃を待つ≪ドルスス≫にミュータント部隊員ヨースト・クルマンからの警報が伝わる。場所は地球から約１０００光年離れた惑星スヴォーフォン。だか、収容されたクルマンは自分が出した警報を覚えていない。そして、≪ドルスス≫の超空間ジャンプの度に謎のシグナルが発信される。ロボット摂政が≪ドルスス≫に正体不明のスパイを送り込んだのだ。

　・青い小人たち　クルト・マール
　惑星グレイ・ビーストに植民を試みるホラース・Ｏ・ミュロンの冒険。植民地の支配権をめぐりホランダーとの政治的戦いが続く。調査行で、原住種族ムンゴと、電場、重力場をあやつる青い小人たちとの遭遇。ホランダーの奸計によりいったん射殺されたミュロンだが、青い小人たちに助けられ失地回復を目指す。(2000.10.8)

３２巻「時の牢獄」

　・マイクロ・エンジニア　クラーク・ダールトン
　記憶を取り戻したヨースト・クルマンの報告によると、スヴォーフォンではスプリンガーがアルコン摂政の指示のもと構造補整機探知装置を製作しようとしていた。それが完成しテラ宇宙艦の超空間ジャンプが探知されれば、地球の銀河ポジションがわかってしまう。
　対抗策を立てるため、ローダンは構造補整機探知装置の設計図を入手するとともに、マイクロ・エンジニアであるスヴォーン人二万人を太陽系に移住させる。

　・時の牢獄　クラーク・ダールトン
　２０４１年１月、時間前線が恒星モラグの第二惑星タツ＝トルを通過することがわかる。異時間平面と通常時間平面をつなぐレンズ・フィールド・ジェネレーターを使い、マルセル・ルゥ一行は異時間平面へ調査に向かうが、通常時間平面への帰路を失ってしまう。
　ルゥたちはさまざまな試みにより異時間平面の宇宙艦と接触するとともに、局所的に両時間平面の固有時間を一致させる方法を発見する。通常時空への帰還は成るか。

　異時間平面との接触が銀河のどこで起きるか予測する装置とかが突然登場。固有時間の違う大気が呼吸できるとか、通信電波が正常に使えるとか、不思議な（と登場人物も言っている）現象が起こる。現象への対応方法だけが科学っぽくても現象自体を説明できないのではＳＦとしては片手落ちだと思う。(2000.10.9)

３３巻「時空大脱出！」

　・時空大脱出！　クラーク・ダールトン
　異時間平面への移行を可能にするレンズ＝フィールド＝ジェネレーターだが、これを修理、ただちにマルセル・ルゥ一行を追いかけることは技術的障害からローダンにはできなかった。
　２０４１年７月１６日、新たに建造した湾曲フィールド＝ジェネレーターで直径１００メートルの軽巡≪サンボ≫をもって異時間平面に乗り込むローダン。ドルーフの攻撃をかわして、マルセル・ルウ一行を救出した。
　というんだけど、時間経過速度が違う二つの空間で、特定惑星が重複する状態が７ヶ月も継続していたとか、いつの間にかローダンが相手時間に同期してしまうが元の時空に帰還すると同期が戻るとかうまく説明が付けられていないのが気になる。今回の無事は≪サンボ≫に搭載したフィクティブ転送機のおかげも大きい。

　・流刑囚の看守　クルト・マール
　ホランダーの奸計から逃れたミュロンだが、植民地の支配権を取り戻さなくてはならない。そして、ミュロンが人民議会議長に就任すると間もなく、グレイ・ビースト星系の別惑星からピープシーの宇宙船が降り立ち、植民地を脅かす。

　この巻のあたりではダールトンとマールがずいぶんたくさん書いてますね。３話連続で同じ作家が続くのは前にも後にも例がないのでは。(2001.3.4)

３４巻「消えた生命の星」

　・シリコ第五衛星での幕間劇　クルト・ブラント
　ローダンとトーラの息子、トマス・カーディフが太陽系帝国宇宙アカデミーを卒業。惑星ルズフでジュリアン・ティフラー大佐のもとに勤務する。幼くして手元から離した息子の姿を見るため、トーラは新型ガゼル偵察機で惑星ルズフへ向かう。何者かがトーラを誘拐。トーラ捜索の過程でトマスは自分の出自を知り、ローダンを憎む。

　・消えた生命の星　クルト・マール
　ローダンがワンダラーで細胞シャワーを受ける期日が迫っていた。だが、あるべきはずの場所にワンダラーはいない。どうやら異時間平面に取り込まれたらしい。ワンダラーを追ってローダンは異時間平面に突入、ドルーフと戦う。ローダンは異時間平面から脱出したワンダラーの現在位置を突き止めた。
　タイトルの”消えた生命の星”というのは惑星ソリチュードではなく、ワンダラーのことらしい。(2001.3.4)

３５巻「アトランティス最後の日」

　・半空間に死はひそみて　クルト・マール
　前話の最後で、ワンダラーの現在位置を特定したローダンだが、”それ”の力がおよばずワンダラーは半空間にひっかかってしまっていた。細胞シャワーを浴びる期限が迫る中、テレポーター、ソリチュード知性体、レジナルド・ブルと次々に様々な方法でワンダラーに迫る。

　・アトランティス最後の日　Ｋ・Ｈ・シェール
　２０４２年５月１日の期限に間に合って（途中でローダンが時間ジャンプとかするのに、期限延長は無い）生命の延長を得たローダンだが、レジナルド・ブルが前話の強行突破の影響でしだいに若返り始める。ブルを救うため再びドルーフ宇宙へと移行する一行。ドルーフとの戦闘がきっかけで、アトランの付帯脳から１万年前の記憶がよみがえる。
　”それ”が数日間引退すると表明する。(2001.3.7)

３６巻「アウリゲルからの使節」

　・≪チグリス≫のミス・ジャンプ　クルト・ブラント
　２０４２年６月１８日、地球の銀河ポジションを探るアルコンロボット脳に、間違った座標を伝えるため、球形貨物船≪チグリス≫による偽装作戦が行われる。にせ座標には無人惑星があるばかりだが、ローダンの真意は何か。

　・アウリゲルからの使節　クルト・マール
　植民惑星グレイ・ビーストからピープシーの脅威を除くため、２０４１年８月１６日、残された搭載艇でピープシーの母星へスタートするミュロン一行。みずからをアウリゲル星からの使節と偽っての外交戦略に訴えるが、正体を見破られる。
　一行の運命もついえたと思ったその時、太陽系艦隊が介入した。どうやらグレイ・ビースト星系は銀河政策の焦点としてうかびあがったようだ。(2001.3.8)

３７巻「三人の裏切り者」

　・三人の裏切り者　クルト・マール
　２０４２年１０月、太陽系艦隊基地となったグレイ・ビーストからかつてのホランダーの部下三人がガゼルを盗み逃走する。ローダンの地球支配をうち破るため、地球の銀河ポジションをアルコンに渡そうというのだ。
　数週間前だと言われるピープ作戦は、２０４１年８月のはず。この日付はそれより前の経緯とも一致するように思うのだが。どこかで１年ずれてしまっている。
　三人がなぜアルコンに直接飛ばなかったのか、最後にローダンが解説する。アルコンまでの３万光年を飛ぶのに５回の超空間ジャンプが必要だからみたいな言い方。あれ？三人が向かった星系は２万５千光年先で、そこまで１回でジャンプしているんだけど。
　この当時のガゼル一機の価格は４５００万ソラー。

　・戦慄　ウィリアム・フォルツ
　オタマジャクシＫ２６２は惑星エパンからミュータント工作員ゴルトシュタインを回収し、テラへと向かう。だが、怪しい影が艇内をうろつき乗員が次々と襲われる。マーカス・エヴァソン大佐の苦悩。(2001.3.10)

３８巻「赤い宇宙の対決」

　・赤い宇宙の対決　Ｋ・Ｈ・シェール
　２０４３年８月、ついにグレイ・ビーストの近傍に放電漏斗が出現。ドルーフ宇宙との自由な通行が可能となった。州名級の新型軽巡≪カリフォルニア≫を用いてドルーフ宇宙の強行偵察を図るローダン。人類がついに実用化した物質転送機の誤動作で、ローダンはドルーフの母星に転送される。
　作品冒頭で、アトランが≪ガニメード≫から≪クビライ・カン≫へフィクティブ転送機の移設方法を考えたことが語られる。しかし、二機のフィクティブ転送機は２９巻ですでに≪ドルスス≫へ移設されていたのではなかったか。そうでなくとも６０年前に建造された≪ガニメード≫にいままで転送機が置かれていたのは不思議。
　６５６２光年を一気にこなしたエヴァソンはすごいとアトランは言うが、ガゼルでもその程度のジャンプはできるんじゃなかったですか。

　・ドルーフォンの陽の下で　クラーク・ダールトン
　ドルーフ母星系の秘密基地を強化するローダン。謎の球形生物ハルノの助力を得て、ドルーフ政府との接触を図る。交渉は決裂。ロボット摂政の艦隊はドルーフとの戦いで激しく消耗する。ドルーフの主席物理学者オノトはなぜかローダンを援助する。(2001.3.11)

３９巻「還らぬトーラ」

　・永遠の囚人　クラーク・ダールトン
　ドルーフの主席物理学者オノトと共生していたエルンスト・エラートとの意志疎通が成立。ローダンはエラートの協力を得て、ロボット摂政にドルーフォンを攻撃させるとともに、ドルーフの秘密の一つ、時間凝固装置のモデルを入手する。ドルーフ星間エンジンの秘密を入手すべくエラートは引き続きドルーフォンに留まる。

　・還らぬトーラ　クルト・ブラント
　ロボット摂政に球形戦艦１００隻の割譲を求めるべく、アルコン星系へ飛ぶ軽巡≪ビルマ≫。艦上には生命延長血清の副作用で不調をきたしたトーラがいた。死期の迫ったトーラに活力を与えるべくローダンはトーラに重要な使命を与えたのだ。
　しかし球形艦割譲は、地球の銀河ポジションを探るための罠だった。トーラは生命延長血清の効果で若返るが、脱出にあたり捕虜にしたアラス医師の光線銃がトーラの命を奪う。(2001.3.11)

４０巻「核地獄グレイ・ビースト」

　・核地獄グレイ・ビースト　クルト・マール
　艦隊をもってのアルコン攻撃を決意したローダン。だが、手薄になったグレイ・ビーストの艦隊基地がアルコンに知られてしまう。２０４３年１０月２３日、アルコン爆弾でグレイ・ビーストを攻撃する摂政艦隊。基地に留まっていたローダンは進退窮まる。かろうじて脱出を図るがついにドルーフ艦に捕獲される。
　ハルノがいればローダンが窮地に陥ることもなかったはずだが、どこかへ行ってしまったらしい。

　・ドルーフの本拠にて　クルト・マール
　地球ではローダンの死が報じられる。ドルーフのシアメド星系第３６惑星からの脱出を図るローダン一行。エラートの通報によって太陽系艦隊の救出作戦が始まる。(2001.3.12)

　初稿：2000.10.7、改訂：2000.10.8〜