宇宙英雄ローダンシリーズ
５０〜６０

　アルコンロボット摂政の退位からほぼ半世紀が経過した２１０２年。ローダンはついに完成したハイパー＝リニアエンジン宇宙艦のテスト飛行を行う。発生した事故により、ローダンはアルコンよりも遙かに高度な技術を持ったアコン人と遭遇する。(2001.3.24)
　あらたな技術的進展は太陽系人類を未知の活動域へと誘う。銀河中枢域に住むアコン、銀河外縁から離れた惑星メカニカ。トマス・カーディフとの死闘を通じて、ローダンはアトランと同じ細胞活性装置保持者となる。(2001.4.8)

ローダンなもの

５０巻「超種族アコン」

　・人類の友
　→アルコン帝国サイクルへ。

　・超種族アコン　Ｋ・Ｈ・シェール
　２１０２年３月、ローダンは新開発のハイパー＝リニアエンジンをそなえた探検船≪ファンタジー≫でテスト飛行に出発する。発生した事故がきっかけで、ローダンは星系全体がブルーのバリアで包まれたアコン人の世界を発見する。アコンはアルコンの祖先にあたり、地球を凌駕する技術を持っていた。ローダンはアコンの捕獲からぎりぎりの状態で脱出する。(2001.3.24)

５１巻「テスト宇宙艦事故発生！」

　・テスト宇宙艦事故発生！　クラーク・ダールトン
　テスト艦≪ファンタジー≫の機関が爆発。乗員３００人のうち生き残った８２人は、未知の惑星に不時着。おまけに、ハイパー通信機はスペース＝ジェットとともに惑星地表に飲み込まれてしまう。惑星全土がひとつのプラズマ生物に覆われていたのだ。偶然救難信号を捉えた貨物宇宙船≪リザード≫のグレイバウンド船長の行動は。

　・第三課、介入す　クルト・マール
　宇宙社会開発援助部隊第三課、そこはナイク・キント大佐が率いる秘密情報機関の最精鋭組織だ。第三課に属するロン・ランドリーとラリー・ランダルが惑星ガーマ近傍で行方不明になった貨客船≪カロライナ≫の生存者救出に向かう。(2001.3.25)

５２巻「プラズマの怪物」

　・プラズマの怪物　クルト・ブラント
　アコンの宇宙艦が、テラから６５０光年離れたベテルギュース星系に出現。第７惑星に３０分ほど滞在して消える。ローダンは罠を警戒しつつも、調査に送ったロボットが汚染されて、ついに地球全域に伝染病が広がる。

　５１巻でもプラズマ怪物が出てきたばかり。プラズマには高度に電離された気体の意味の他に、原形質の意味もある。このところの怪物はどうやら後者。

　・グリーンホーン　ウィリアム・フォルツ
　地球産の麻薬を広めることで、ローダンに打撃を与えようとするスプリンガー。偶然にも新婚旅行でヴェガに向かった、太陽系宇宙アカデミーから失格の烙印を押されたジョン・エドガー・ピンサーが麻薬取引惑星のスプリンガーのもとに飛び込む。
　頼りない男だが、結局はテラナーとしての性格に沿って行動する（というわけで、テラナーはすごいのだ）。(2001.3.26)

５３巻「幽霊艦隊現わる」

　・幽霊艦隊現わる　クラーク・ダールトン
　またもやアコンの宇宙艦がブルーの星系を発進。あっさりアルコンIIIに着陸するとともに不思議なバリアで覆ってしまった。なんと、アルコンIIIを１万５千年前の過去に戻して、そこからアルコン艦３万隻で現在のテラを攻撃しようという計画だった。

　突破不可能なバリアだが、テレポーターとフィクティブ転送機の力を同時投入すれば通り抜けることができるかも、とかいう超論理には脱力してしまう。ともかくまあ、過去を操ることができるアコンは何ともすごい。
　リニア・エンジンを積んだ直径２００メートルの重巡≪ラルフ・トルステン≫登場。

　・パッサの偽神　クルト・マール
　銀河通商でも重要な役割を果たす惑星パッサ。そこで発生するテラナーの大量失踪。テラの銀河通商に悪意を持つスプリンガーの仕業に違いない。ということで第三課ロン・ランドリーとラリー・ランダルの活躍。ロフティ・パターソン初登場。(2001.3.30)

５４巻「警戒！銀河中枢星域」

　・警戒！銀河中枢星域　Ｋ・Ｈ・シェール
　アコンは完全封鎖されていたはずのアルコンIIIのポジトロン脳内部施設から、ローダンとアトランを誘拐する。だが、これは政治的な失敗。ローダンがアコンに宣戦布告するとともに、リニア・エンジンを搭載した戦艦≪アイアン・デューク≫がブルー星系のバリアを突破して救出に向かう。
　戦艦群に包囲されたアコンは降伏、アルコン帝国はアコンから政治的承認を取り付けるとともに、テラとアルコンはアコン型リニア・エンジンの設計図を入手する。

　・死の砂漠　クルト・マール
　惑星レプソでは突然の老化に見舞われる人間が頻発。この謎を探るために第三課のロンとラリーが出発。その背後にスプリンガーとバアロル教団の暗躍があった。銀河に浸透する魔酒リクヴィティフがその道具だ。しかも、その関係者にローダンの息子トマス・カーディフが関係していた。バアロル教団が捉えたテラナー４８人は救出したもののすでにリクヴィティフは銀河に広く浸透している。(2001.3.30)

５５巻「エルドラド計画発動！」

　・エルドラド計画発動！　クルト・ブラント
　恐るべき麻薬リクヴィティフが惑星レプソから供給されていることから、その解毒剤を求める惑星レプソ包囲作戦が展開。
　記憶を封印されたトマス・カーディフがリクヴィティフの開発者だった。ローダンの追求を逃れるため、アンティがカーディフに施した操作がカーディフの記憶を呼び戻す。カーディフは、ローダンへの怒りに燃えて惑星レプソを脱出する。

　・アンティを追って　ウィリアム・フォルツ
　テラは惑星レプソで得た手がかりを追って、カーディフの逃亡先が惑星オクルであることを突き止める。リニア・エンジンの隠密性を利用したレプソ侵攻作戦。リクヴィティフの製造施設を放棄してカーディフたちはレプソの海へ逃走する。(2001.3.31)

５６巻「オクル星の虜囚」

　・オクル星の虜囚　クラーク・ダールトン
　惑星オクルを封鎖され、追い詰められたトマス・カーディフ。カーディフは父ローダンと二人だけの会見を希望してローダンを誘拐する。二人が良く似ていることを利用してカーディフはローダンになりすます。ローダンの記憶をわがものとし、テレパスにも見分けが付かない。さらに変装を完璧なものとするため、リクヴィティフの解毒剤製法がカーディフによって公表された。

　・二つの顔を持った男　クルト・ブラント
　アンティはローダンになりすましたカーディフに細胞活性装置２０個を手に入れるように要請する。ワンダラーへ飛び不死者をあざむこうとするカーディフ。不死者はローダンの個体周波数に調整された活性装置と、さらに２０個の活性装置を渡す。
　ローダンの不可解な行動に太陽系艦隊内部での疑惑が膨らむ。

　カーディフがローダンの記憶を持ったことで、カーディフはトーラの死の真相を知りローダンを憎む理由を無くすのではと心配していたら、ここで解説が入った。なぜかトーラに関する記憶はカーディフの受け継いだローダンの記憶には見当たらなかったのだ。さらに別の巻でその理由が解説されることになるのか。(2001.4.1)

５７巻「バアロル教団の秘密」

　・バアロル教団の秘密　クルト・マール
　カーディフからバアロル教団の手に渡った細胞活性装置。だが、不死者は真性の細胞活性装置を渡したのではなかった。惑星ウチクで発生するバアロル教団大神殿の混乱。
　第三課ロンとラリー、工作員となったロフティ、ロボット軍曹ミーチ・ハニガン登場。

　・不死の代償　クルト・ブラント
　権力欲を増大させて、銀河支配をもくろむカーディフはアルコン帝国崩壊を期して、アルコン帝国からのテラナー引き上げを宣言する。テラとの戦闘に備えてアコンと手を結ばざるを得ないアトラン。
　カーディフが身につけていた細胞活性装置がカーディフの肉体と一体化する。徐々にカーディフの体形が変化する。
　バアロル教団に捕らえられたアルケルとノリノフは惑星サオスから脱出。バアロル教団サオス基地の存在が明らかになる。

　カーディフが得たローダンの記憶にはいくつもの欠落があることが明らかになる。物語の展開に都合が良すぎるみたい。(2001.4.3)

５８巻「惑星サオス包囲作戦」

　・惑星サオス包囲作戦　ウィリアム・フォルツ
　暴走する細胞活性装置停止の手がかりを求めて、カーディフはアンティとの接触をめざす。惑星サオスを侵攻しようとする太陽系艦隊。だが、アルコン領を侵犯される皇帝アトランはこれを看過できない。
　ローダンへの信頼と、事実との板挟みになるアトラン、ブル達。ともかくもサオスからはバアロル教団母星トラカラトの手がかりが得られる。

　・二重太陽下の決闘　Ｋ・Ｈ・シェール
　惑星トラカラトへ向かうアルコンとテラの合同艦隊。≪アイアン・デューク≫に同乗するアトランがついにカーディフの正体をあばく。トラカラトに捕らわれていたローダンが解放され、両帝国は最悪の危機を脱した。
　ローダンが細胞活性装置を入手し、アトランと同じ不死がもたらされる。

　ローダンは、カーディフに記憶を読まれた際にいくつかの事実をブロックしたことでカーディフの正体を暴く手がかりを残していた。さすがローダン。というのだが、じゃあトーラの記憶は。あのときをカーディフ説得のチャンスにもできたのでは、っていうのはまあ二つ以上の可能性を追うほど余裕はなかったということで勝手に納得しよう。(2001.4.4)

５９巻「惑星アツゴラの奇病」

　・盗まれた艦隊　クラーク・ダールトン
　平穏を取り戻した太陽系帝国。しかし、アルコン帝国が太陽系帝国と対立した際、アトランは宇宙艦１千隻をアコンに譲り渡していた。アコンの危険な行動を予防するためには表面に立つことなくこの艦隊を消滅させなくてはならない。
　表面は友好的に、裏面では艦隊奪取をはかる銀河政治の駆け引き。

　・惑星アツゴラの奇病　クルト・マール
　惑星アツゴラで、人間が太りすぎて動けなくなってしまう奇病が発生。その背景を探る第三課のロン、ラリー、ロフティ、ミーチ。状況を利用しようとするスプリンガーとの争い。奇病の背景には未知の宇宙船二隻が関係しているらしい。

　蘚苔類というのはスギゴケみたいな、いわゆる普通のコケ。英語では moss。モス・グリーンのモス。モス・バーガーのモスは mos。(2001.4.6)

６０巻「破滅への種子」

　・破滅への種子　ウィリアム・フォルツ
　人類の居住圏にベーコン苔を播種する謎の宇宙艦。苔の胞子は高い栄養価を持ち容易に吸収される。惑星住民は肥満して行動力を失う。調査に赴いたローダン一行は、播種船の司令と接触する。

　・惑星メカニカ　Ｋ・Ｈ・シェール
　アルコンIIへ持ち込まれたベーコン苔の胞子が大気中に拡散する。早期に対策を講じなければアルコンの通商機能の６０％が失われる。播種船の通信からローダンは播種船の起源惑星を銀河の縁から１５万光年離れたアウトサイド星系に発見する。
　第二惑星メカニカには奇怪なロボット都市が展開。施設の調査から収穫船に向けた通信コードを割り出すことが出来た。(2001.4.8)

　初稿：2001.3.24、改訂：2001.3.24〜