宇宙英雄ローダンシリーズ
２００〜２１０

　３４３０年、千年を経て復興した太陽系帝国。しかし自由を重んじたローダンの政策は新たな人類帝国を誕生させていた。太陽系に迫る反太陽系連合の宇宙艦隊。ローダンは５００年にわたり準備したローリン計画を発動、太陽系全体を別の時空へ移した。(1999.11.30)
　アッカローリー、ロード・ツヴィーブス、リバルド・コレッロ、銀河三大帝国、死の衛星、コンテナ街道とさまざまな要素が展開していく。(2000.3.22)

ローダンなもの

２００巻「薄明の人類」

　・銀河警報　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　→Ｍ８７サイクル。

　・薄明の人類　Ｋ・Ｈ・シェール
　２００巻後半、３４３０年、千年を経て復興した地球はしかし新たな危機の時を迎えていた。自由を重んじたローダンが容認した植民者の子孫たちが地球への反乱を企てた。太陽系に迫る三つの人類星間帝国宇宙艦８万隻。高みへと達した科学技術と経済文化を持つ太陽系がこれを軍事力で圧倒することは人類同士の争いを意味する。ローダンの選択はＡＴＧフィールドにより２５０億の人類とともに太陽系を異なる時空へと退避させることだった。
　圧倒的な優位を手にした太陽系人類とローダン。新たな危機がなければローダンは宇宙英雄としての実を示せないのだがこの状態で起こる新たな危機とは何か、注目のカピンサイクル開始。(1999.11.24)

２０１巻「銀河のＵＦＯ」

　・大宇宙への門出　ウィリアム・フォルツ
　８００年前の核戦争で歴史を失ったサパ星系のコニアーズ。いま、失われた歴史を求めて惑星フィルマーへの宇宙旅行が実現しようとしていた。一方、帝国の拡張をめざすダブリファ帝国はサパ星系に魔手を伸ばした。しかし、失われたはずの太陽系帝国がダブリファの横暴を許すことはなかった。影の存在となったローダンがいかに銀河政治に干渉していくのかの一例。

　・銀河のＵＦＯ　クラーク・ダールトン
　太陽系がＡＴＧフィールドに隠れてすでにほぼ一年が経過した３４３１年１０月２日、銀河に出没するようになったＵＦＯアッカローリーが植民惑星ザーレムに現れる。これまでの手がかりからアッカローリーは反物質生命との確信がたかまる。ローダンとのコンタクトは今回は成立しなかった。

　影の存在としてのペリー・ローダン。新たな展開への期待が高まっていく。(1999.11.30)

２０２巻「宙賊レディ」

　・コンテナ街道　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　太陽系の銀河経済への復帰。すでに１３ヶ月も姿を隠したままでは、太陽系の経済は破綻を来していたのではないかと心配だがそれはともかく。かつての自由商人の星、ボシック星系の惑星オリンプを中継点として大規模な通商が行われている。そこを束ねるのはローダンの遺産を継承したと称する皇帝アンソン・アーガイリス。実体は太陽系帝国の作り出したヴァリオ５００ロボット。オリンプの継承した”遺産”を狙ってタブリファ皇帝は５００隻の超弩級戦艦を送り込むとともに秘密惑星の場所を突き止めようとアーガイリスを誘拐するが、１０００隻の太陽系艦隊があらわれてタブリファの行為は無駄骨に終わる。

　・宙賊レディ　ウィリアム・フォルツ
　太陽系帝国の敵を相手に、宙賊稼業を続けるティーパ・リオルダンだが、その鼻先から獲物をかすめ取ろうとする謎の小型宇宙艦。これぞ、伝説の超能力者リバルド・コレッロであるらしい。人類の危機を見て取ったティーパはＵＳＯ長官アトランと連絡を取りコレッロの正体を探ろうとするが、アトラン、論理学者アラスカ・シェーデレーアとともに氷山の洞窟に生き埋めにされてしまう。コレッロの持つ恐ろしい超能力の一端をアトランは知ることになる。

　以前のサイクルから１０００年を隔てて新しい話が始まるということで、つぎつぎと状況が紹介されていく。 (1999.12.5)

２０３巻「未来からの報告」

　・アステラのマリオネット　ハンス・クナイフェル
　惑星アステラに怪しい事件が起きている。もしやリバルド・コレッロが何事かをたくらんでいるのか。怪しい工作員ノーマン・ヨーダーは怪しい惑星に潜入、怪しい太陽系艦隊もと少佐のジョーク・カスカルと怪しい協力関係にはいる。惑星住民を暗示超能力でわがものとしようとしたリバルド・コレッロのたくらみは瓦解する。

　・未来からの報告　クラーク・ダールトン
　銀河から５分後の未来にいる太陽系から、カルスアル同盟のスパイが報告を送る。太陽系消失の謎は秘匿しておかなくてはならない。太陽系秘密情報局長官ガルブレイス・デイトンの出番だ。銀河文明の頂点である地球での優雅な一般生活。２５０億の人口（太陽系全体だが）がいても、海洋を居住区にするなどすれば優雅な生活が送れるのかな。(1999.12.5)

２０４巻「ミュータントたちの暴走」

　・新元素　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　新元素、インケロニウムの発見。アッカローリーとの遭遇。この元素を介することで反物質宇宙の生命体であるアッカローリーとのコンタクトに成功する可能性が高まる。
　元素の発見とはいかにも大時代な仕掛け。インケロニウムは高圧惑星でないと存在しないそうだが、一般常識では元素が作られるのは核融合や超新星爆発や宇宙創世の場合と思うので惑星規模の高圧が特別な要因になるとは思えない。

　・ミュータントたちの暴走　ウィリアム・フォルツ
　リバルド・コレッロにより惑星社会一つが崩壊。その様子がきっかけになってアトランは第二次遺伝子危機を述懐する。ローダン登場人物が様変わりする第二次遺伝子危機の様相があきらかになる。(2000.2.28)

２０５巻「コペルニクス秘密指令」

　・アンコロートの決闘　クラーク・ダールトン
　ほぼ二週間前リバルド・コレッロが現れた星系から二光年の惑星アンコロートに怪しい事件が発生。コレッロの仕業ではないかとイワン・イワノビッチ・ゴラチンが派遣された。だが、これはコレッロの仕掛けた罠。おびき寄せたゴラチンを利用してコレッロは消えた太陽系の謎を探り出そうと試みる。ゴラチンとコレッロの決闘がすごい。

　・コペルニクス秘密指令　ハンス・クナイフェル
　太陽系秘密情報局のあとおしを得てジョーク・カスカルのはでな活動が始まる。２９５０億ソラーに相当するホワルゴニウムをもとに、ニュートン星系コペルニクスでタイムマシンの秘密を手に入れろ。人類の一形態であるプロスペクターの生活実態の紹介は興味深いが、こんなはでなことをしなくても目的達成はできたんじゃないかと思えるのだか。(2000.3.5)

２０６巻「太陽の死の罠」

　・時間特攻隊　ハンス・クナイフェル
　タイムマシンが作動。目指すは２９０９年の第二次遺伝子危機。人類の脅威となったリバルド・コレッロの誕生を阻止しようとする試みは失敗。マシンは破壊されるが、ローダンは設計図を手に入れる。タイムパラドックスを起こそうという試みは何故か成功しなかったという話。

　・太陽の死の罠　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　アッカローリーの一人、アクトロン・ムスポエルンとのコンタクトが成立。ムスポエルンは太陽を周回する死の衛星の存在を察知。太陽がノヴァとなる危険を警告する。死の衛星が活動し、太陽の活動が衰えて収縮してやがて激しい核反応が始まるとのこと。(2000.3.5)

２０７巻「太陽調査隊」

　・太陽調査隊　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　特殊船≪サン・ドラゴン≫による太陽光球の調査。ワリンジャーはついに死の衛星を発見。攻撃するが撃退される。ローダンはゼロ時間デフォルメーターによる２０万年前への旅を決意する。

　・宇宙のサーカス　ウィリアム・フォルツ
　死の衛星の影響で精神を病んだロード・ツヴィーヴスがオリンプで逃走。折しも宇宙サーカスが到着。コレッロのスパイもいる。太陽系秘密情報局による救出作戦。
　ミュータント抜きでも大きな影響を発揮できるようになった人類。話としては超能力者投入よりも味がある。今後の展開にどうからむのか不明。(2000.3.6)

２０８巻「スーパーミュータント襲来！」

　・異宇宙からの友人達　クラーク・ダールトン
　アッカローリー、アクトロン・ムスポエルンのために設けられたカリストの居住地で事故。このため反酸素のストックが無くなりムスポエルン以外のアッカローリーとのコンタクトが必須となった。クリスマス記念のクリスマス宇宙船が登場。
　おや、マヴェリックケープは透明化できないのではなかったかな。いつの間に旧式宇宙服を被覆するだけで反物質に対応できるようになったのだ。反酸素のストックが尽きるというのは、ある種の損失が起きるのは納得するとして、失われる反酸素はどこに放出されているのだろう。それで事故につながらないのだろうか。

　・スーパーミュータント襲来！　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　リバルド・コレッロがローダンに仕掛ける罠。いかにも怪しい唯一の生存者。しかし不審な点が見当たらない。コレッロの罠とは何か。
　敵を５次元超空間に送り込むクインタディムトラーファー（訳すと５次元移送／そのまま）能力、物体を移送するテレプシマット能力が披瀝される。(2000.3.18)

２０９巻「銀河の伝令使」

　・≪インターソラー≫あやうし！　ウィリアム・フォルツ
　コレッロが仕掛けた罠が発動。ついにローダンもその軍門に下る。ローダンを救ったのは唯一…。コレッロが復讐を楽しみすぎたのが彼の敗因だが、おきまりの悪者パターンと言える。
　コレッロが超心理物質製造の能力を発揮。

　・銀河の伝令使　ハンス・クナイフェル
　太陽系消滅のあと、銀河三大勢力はついに互いに戦いを始める。このままでは１００億の人命と５００の惑星が失われる。これを阻止すべく駆り出されたのは銀河一怪しいプロスペクターとなったジョーク・カスカル。
　カスカルの絡む作戦は、どうも大げさすぎるように思う。(2000.3.21)

２１０巻「裏切り者たちの会議」

　・裏切り者たちの会議　ウィリアム・フォルツ
　アトランが、ティーパ・リオルダンの罠に落ちる。ローダンを裏切るアトラン。ラス・ツバイ、アラスカ、グッキーも…。ティーパがローダンに仕掛けた罠とは。
　緊迫する銀河情勢はめでたくひとまずの安定を取り戻す。読ませる良い話だ。

　・過去界の謎　クラーク・ダールトン
　ローダンにコンタクトを求めるハルノ。アッカローリーとシュレックヴルムの謎があかされる。物語は安定の方向へ。あと残るのは死の衛星とコレッロとの最終対決。(2000.3.22)

　初稿：1999.11.23、改訂：1999.11.24〜