宇宙英雄ローダンシリーズ
２１１〜２２０

　８０００人のカピンが太陽衛星（死の衛星）内に出現。２５０億の人口を擁する太陽系は危うい安定状態にある。問題の解決を求めて、ローダンは２０万年の過去へと探索に向かう。(2000.3.24)
　ゼロ時間デフォルメーターは時間ランナーの妨害に会い、ローダンは５万年前に不時着。現時間に戻ったローダンは、リバルド・コレッロの協力のもと妨害効果を排除するダッカル走査リゾネーターの開発に成功した。
　ローダンは２０万年前に到着し、カピンのオヴァロンと合流する。だが、死の衛星についてはまだ解決策が無い。(2000.8.5)

ローダンなもの

２１１巻「時間の振り子」

　・仮面の下の秘密　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　太陽衛星の活動がアラスカ・シェーデレーアの仮面の下の顔と連動する。太陽衛星への手がかりを求めてローダンは惑星タフンでロード・ツヴィーブスとアラスカを対面させることにした。ツヴィーヴスの記憶からカピンの存在と、２０万年前に行われた遺伝子実験があきらかになる。

　・時間の振り子　ハンス・クナイフェル
　遭難した月ほどにも大きなカピンの時間ステーション。そこから８０００人のカピンが太陽衛星へと避難してきた。ローダンはそれを利用し、太陽衛星の活動を一時停止させた。だが、問題の根本解決のためには２０万年前に行かなくてはならない。
　太陽衛星が始まりかけた太陽のノヴァ化を停めるのは、２０６巻のアクトロン・ムスポエルンの説明と矛盾するみたい。(2000.3.24)

２１２巻「特別コマンド出撃！」

　・特別コマンド出撃！　クラーク・ダールトン
　前回のカピン宇宙船撃退のおり、二名のカピンが人間の意識内に潜入した。一名は早期に撃退したものの、あと一名が行方不明。アトランはカピン捜索のため特別コマンドを編成した。

　・時間流の中で　ウィリアム・フォルツ
　３４３３年８月１日、２０万年の過去に秘められた謎を解明すべくゼロ時間デフォルメーターが始動する。予期せぬ時間バリアのため、一行は５万年前に不時着する。
　なにごともすなおに行かないのがローダンの世界だ。(2000.3.26)

２１３巻「ケンタウルスの襲撃」

　・ケンタウルスの襲撃　ハンス・クナイフェル
　ローダン一行をロケット火器で武装したケンタウルス、ネアンデルタール人の一群が襲う。人類の祖先であるレムール人は彼らと熾烈な戦いを繰り返している。このままでは人類は死滅するだろう。ローダンは自らが介入することが歴史的必然と判断し、レムール人援助を決意する。
　神話生物との戦いは、ありがちなアイデアだが、ケンタウルスがロケット火器を使うところに味わいがある。

　・月面の物体　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　スペース＝ジェットによる遠距離偵察で、アトランは月面上に謎の物体を発見、撃墜される。時間平面からの退避を決めるローダン。だが、タイムマシンをはじめとした５・６次元機器はすべて作動不能になった。
　レムール人との共闘を強化し、妨害の原因を除去することが必要だ。キュクロプス、アルガザトも敵側にいることがわかる。

　１９９５年９月発売の本書から池田香代子の翻訳がシリーズに混じることになる。(2000.3.28)

２１４巻「聖なる島への旅路」

　・聖なる島への旅路　クラーク・ダールトン
　４次元以下の機器しか使えない状態を打開すべく、ローダン一行は敵の根拠地破壊に向かう。レムール人の持つ蒸気船と蒸気飛行船のボイラーを小型原子炉に置き換え、襲い来る伝説の怪物達と戦いながら、アスファルトの湖にそそり立つ聖なる島を目指す。

　・サンダーボルトチームの出番　ウィリアム・フォルツ
　聖なる島攻略のため、周囲の火山を活性化して敵の防衛機構に負荷をかけるとともに、アスファルト湖に潜ることで敵のバリアをかいくぐるという作戦が立てられた。無敵のロボットパラディンを操るサンダーボルトチームの活躍。しかし、ＳＥＲＴフードというのは６次元機器ではないのかなあ、などと考えるのは野暮か。
　当初読んだときには、バリアが湖の中まで届いていないという設定に不自然さを感じた。しかし、例えば歩兵用バリアが地面の下まで届いていたりすると、バリアが地面に刺さった形になって、歩兵は前進できない。そうすると、バリアが固体や液体の中まで展開しないというのは一般的な設定としてあり得るかなと思い直した。(2000.4.4)

２１５巻「カピンの最後通牒」

　・青い塔の土地　ハンス・クナイフェル
　突然のアラスカ狂乱。一行が導かれたのはプレビオの繁殖センターだった。これを破壊することでレムールの繁栄は最終的に保証された。繁殖期の始まりは唐突。

　・カピンの最後通牒　クラーク・ダールトン
　ひとまず現在へ復帰したローダン一行。太陽衛星に閉じこめられたカピンとの交渉が成立する。カピンは太陽衛星の破壊に同意、しかし破壊開始とともに太陽衛星の自動機構が反撃を始めた。カピン８０００人はあえなく全員死亡。半壊の太陽衛星はバリアに保護され、自動機構による修理が始まった。修復が完了すれば太陽はノヴァになるかもしれない。太陽系はふたたび破滅へのカウントダウンを迎えた。(2000.4.4)

２１６巻「恐怖の楽園」

　・彼岸からのエネルギー　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　タイムマシンを円滑に作動させるダッカル走査リゾネーター製造のためには６次元振動定数を作り出す必要がある。ワリンジャーは６次元物質を製造するための実験を続けるがうまくいかない。
　実験に引きつけられてコレッロが襲って来る。再びローダン一行と対決。コレッロは精神にダメージを受けて辛くも脱出した。

　・恐怖の楽園　ウィリアム・フォルツ
　６次元物質をすみやかに入手するためには、コレッロの超能力に頼るしかない。ローダンはコレッロの本拠惑星を発見、アトラン以下のメンバーがコレッロの神殿に迫る。

　ただの装置を組み上げるために、ここまで話題を引っ張るかなあ。活劇の理由としては立派と思う。
　ハルト人ももはやテラナーの科学に追いつけないとか、アーガイリスが派手な歓迎会を開くとか、走れ走れが久々に登場するとか本筋に絡まない演出が豊富。(2000.4.8)

２１７巻「エルトルス人の遺産」

　・罠だらけの町　ウィリアム・フォルツ
　トロトとアラスカはついにコレッロと対決、幼児期からコレッロを操っていたバアロル教団の胎児封鎖と攻撃プログラムの存在が明らかになる。

　・エルトルス人の遺産　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　コレッロは胎児封鎖と攻撃プログラム除去のため土星の衛星ミマスに送られた。おりしも太陽衛星があらたな攻勢に出た。謎の像ルログを携えたカマシュ人パトゥリ・ロコシャンとエルトルス人トロナル・カソム登場。(2000.7.29)

２１８巻「三惑星ゲーム」

　・三惑星ゲーム　ハンス・クナイフェル
　ローダンの味方になったリバルド・コレッロだが、次はコレッロを太陽系からラスト・ホープへと移送しなくてはならない。ところが、前回少しだけ太陽系が姿を現したことで、太陽系座標位置にはダブリファ帝国などの調査艦隊が大集合。コレッロ移送のための秘密作戦が展開。
　太陽系からオリンプへはコンテナ街道が通じているので簡単に移行（この理屈がよくわからないが）。オリンプからはカスカルが≪オーヴァラック≫で。たいした盛り上がりもなく、コレッロの力を使ってタイムマシンに必須のセクスタゴニウムが製造された。

　・アトランティスへのテスト飛行　クラーク・ダールトン
　完成までの最大課題を克服したタイムマシンだが、実地テストが必要。そこで、ゼロ時間デフォルメーター１号機が３万３千年前にテストのため移行。崩壊したレムール帝国の末裔と現代人類の関連が確認される。(2000.7.30)

２１９巻「時間の守護者」

　・時間の守護者　Ｈ・Ｇ・エーヴェルス
　カピンサイクルの鍵を握る、オヴァロン登場。彼は２０万年前の世界でカピン実験組織に重要な地位を占め、なおかつ自分でも理由がわからないまま特殊設備を取り扱って時間の守護者を務めている。いきなり現れるローダンのタイムマシン。
　ローダンはマシンの外へ偵察。アトランは攻撃されたタイムマシンをさらに過去へと避難させる。ローダンはオヴァロンの捕虜になってしまった。

　・カピンの年に　ウィリアム・フォルツ
　ローダン支援部隊を送り出すため、短時間だけカピンのいる時代へ戻るアトラン。迎撃するカピン。オヴァロンは対処のまずさを糾弾されて、カピン内での立場を悪くする。カピン内部の抗争。ローダン救出は進展せず。(2000.8.2)

２２０巻「オヴァロン制御ステーション」

　・オヴァロン制御ステーション　クラーク・ダールトン
　オヴァロンはカピン内部の抗争のため、また自分でもわからない高次指令にもとづき、カピンから離反、ローダンの行動に理解を示す。

　・過去界漂流　ハンス・クナイフェル
　過去に退避していたアトランの指揮するゼロ時間デフォルメーターが復帰。ローダン、オヴァロン一行と合流する。そのまま再度過去へ移りカピンの手から逃れる。しかし、オヴァロンは死の衛星についてなにも知らない。ローダンは次の行動計画を立てなくてはならない。(2000.8.5)

　初稿：2000.3.22、改訂：2000.3.24〜